キャリアアップ助成金
どんな会社が利用できるの?
有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップなどを促進するため、正社員化、処遇改善の取組みを実施した会社が利用できます。令和4年4月1日以降の変更点については、「キャリアアップ助成金令和4年4月1日以降変更点の概要」をご覧ください。
どんな内容の助成金?
1.正社員化コース
雇用されていた期間が通算して6か月以上の有期雇用労働者等、又は有期実習型訓練を受講し修了した有期雇用労働者等を正規雇用労働者等(勤務地・職務限定正社員、短時間正社員を含む)に転換又は直接雇用し、転換後6か月以上継続雇用した場合に支給されます。
※新型コロナウイルス感染症の影響による離職者(令和2年1月24日以降に離職した者)で就労経験のない職業に就くことを希望する者が紹介予定派遣の後、正社員として直接雇用された場合、直接雇用前2か月以上6か月未満の雇用期間でも支給対象となります。
■助成額
(1人当たり) ※〈 〉内は生産性要件を満たした場合の額
中小企業 | 大企業 | |
①有期 → 正規 | 570,000円〈720,000円〉 | 427,500円〈540,000円〉 |
②無期 → 正規 | 285,000円〈360,000円〉 | 213,750円〈270,000円〉 |
- 多様な正社員(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)へ転換等した場合には正規雇用労働者へ転換等したものとみなします。
- ①②を合わせて1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20人までとなります。
- 正社員として雇用することを約して雇い入れられた有期雇用労働者等は本制度の対象とはなりません。
- 転換後6か月間の賃金を、転換前6か月間の賃金より3%以上増額させている必要があります(詳細は「知っていますか? 賃金3%アップの計算方法」をご覧ください)。
※転換後の賃金に定額で支給される諸手当を含める場合、当該手当の決定及び計算方法(支給要件を含む)が就業規則又は労働協約に記載されているものに限ります(転換前において定額で支給される諸手当は、就業規則等への記載の有無にかかわらず転換前6か月間の賃金に含めます)。
※固定残業代の総額又は時間相当数を減らしている場合であって、かつ転換前後の賃金に固定残業代を含めた場合に、賃金が3%以上増額していない場合、支給対象外となります。 - 有期雇用労働者からの転換の場合、転換前の雇用期間が3年以内の者に限ります。
※転換日の前日から過去3年以内において、6か月以上無期雇用労働者であった場合、有期→正規の申請であっても、無期→正規としての申請とみなします。
※転換日の前日から過去3年以内において、無期雇用労働者であった期間が6か月未満又は一度も無期雇用労働者でなかった場合、有期雇用労働者となります。
- 派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者又は多様な正社員として直接雇用した場合
①②:1人当たり285,000円〈360,000円〉加算 ※大企業も同額 - 母子家庭の母等又は父子家庭の父を転換等した場合
①:1人当たり95,000円〈120,000円〉加算 ※大企業も同額
②:47,500円〈60,000円〉加算 ※大企業も同額 - 人材開発支援助成金の特定の訓練修了後に正規雇用労働者へ転換等した場合
①:1人当たり95,000円〈120,000円〉加算 ※大企業も同額
②:47,500円〈60,000円〉 ※大企業も同額 - 勤務地限定・職務限定・短時間正社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を転換又は直接雇用した場合
①②:1事業所当たり95,000円〈120,000円〉(大企業は71,250円〈90,000円〉)加算
※1事業所当たり1回のみ
2.障害者正社員化コース
障害者の雇用促進と職場定着を図るために、雇用されていた期間が通算して6か月以上の有期雇用労働者を正規雇用労働者(多様な正社員を含みます)もしくは無期雇用労働者に転換、又は無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換し、6か月以上継続雇用した場合に支給されます。
■助成額
(1人当たり) ※( )内は大企業の額
対象者 |
措置内容 |
助成額 |
対象期間 |
各対象期間における助成額 |
重度身体障害者 重度知的障害者 |
①有期→正規 |
120万円 |
1年 |
60万円×2期 |
②有期→無期 |
60万円 |
30万円×2期 |
||
③無期→正規 |
60万円 |
30万円×2期 |
対象者 |
措置内容 |
助成額 |
対象期間 |
各対象期間における助成額 |
重度以外の身体障害者、重度以外の知的障害者、発達障害者、難病患者、高次脳機能障害と診断された者 |
①有期→正規 |
90万円 |
1年 |
45万円×2期 |
②有期→無期 |
45万円 |
22.5万円×2期 |
||
③無期→正規 |
45万円 |
22.5万円×2期 |
- 対象期間1年間のうち、最初の6か月を第1期、次の6か月を第2期といいます。
- 転換後6か月間の賃金を、転換前の6か月間の賃金より減額させていない必要があります。
- 各対象期間における助成額がその期間における労働に対する賃金の額を超えた場合には、当該賃金の総額を上限とします。
- 正社員化コースの支給申請上限人数には含まれません。
3.賃金規定等改定コース
全て又は一部の有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定し、昇給した場合に支給されます。対象労働者に適用される賃金に関する規定又は賃金テーブルを増額改定した日の前日から起算して3か月以上前の日から増額改定後6か月以上の期間継続して雇用されている有期雇用労働者等が対象となります。
■助成額
※〈 〉内は生産性要件を満たした場合の額
対象労働者数 | 中小企業 | 大企業 |
1~5人 | 1人当たり 32,000円〈40,000円〉 | 1人当たり 21,000円〈26,250円〉 |
6人以上 | 1人当たり 28,500円〈36,000円〉 | 1人当たり 19,000円〈24,000円〉 |
※1年度1事業所当たり100人まで、申請回数は1年度1回のみ
- 中小企業において3%以上5%未満増額改定した場合
1人当たり14,250円〈18,000円〉加算 - 中小企業において5%以上増額改定した場合
1人当たり23,750円〈30,000円〉加算 - 職務評価の手法の活用により賃金規定等を増額改定した場合
1事業所当たり190,000円〈240,000円)(大企業は142,500円〈180,000円〉加算
※1事業所当たり1回のみ
4.賃金規定等共通化コース
有期雇用労働者等に関して正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作成し、適用すると支給されます。賃金に関する規定又は賃金テーブル等を適用した日の前日から起算して3か月以上前の日から適用後6か月以上の期間継続して雇用されている有期雇用労働者等で、正規雇用労働者と同一の区分に格付けされている者が対象となります。
■助成額
※〈 〉内は生産性要件を満たした場合の額
中小企業 | 大企業 | |
1事業所当たり | 570,000円〈720,000円〉 | 427,500円〈540,000円〉 |
※1事業所当たり1回のみ
5.賞与・退職金制度導入コース
有期雇用労働者等に関して、賞与もしくは退職金制度を新たに設け、支給又は積立てを実施した場合に支給されます。賞与もしくは退職金制度を新たに設けた日(以下「新設日」という)の前日から起算して3か月以上前の日から、新設日以降6か月以上の期間(新設日以降について勤務をした日数が11日未満の月は除く)継続して雇用されている有期雇用労働者等が対象となります。
■助成額
※〈 〉内は生産性要件を満たした場合の額
中小企業 | 大企業 | |
1事業所当たり | 380,000円〈480,000円〉 | 285,000円〈360,000円〉 |
※1事業所当たり1回のみ
- 賞与制度と退職金制度を同時に導入した場合
1事業所当たり160,000円〈192,000円〉(大企業は120,000円〈144,000円〉)加算
※初回の賞与の支給日と初回の退職金の積立て日が同日である必要はありません。
6.短時間労働者労働時間延長コース
有期雇用労働者等の週所定労働時間を3時間以上延長、又は1時間以上3時間未満延長するとともに処遇の改善を図り、新たに社会保険の被保険者とした場合に助成されます。
■助成額
※〈 〉内は生産性要件を満たした場合の額
① 短時間労働者の週所定労働時間を3時間以上に延長し新たに社会保険に適用した場合
中小企業 | 大企業 | |
1人当たり | 225,000円〈284,000円〉 | 169,000円〈213,000円〉 |
② 短時間労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を延長するとともに基本給を昇給し、新たに社会保険に適用させた場合
延長した週所定労働時間 (1人当たり) | 昇給率 | 中小企業 | 大企業 |
1時間以上2時間未満 | 10%以上 | 55,000円 〈70,000円〉 | 41,000円 〈52,000円〉 |
2時間以上3時間未満 | 6%以上 | 110,000円 〈140,000円〉 | 83,000円 〈105,000円〉 |
※上限人数は①と②を合わせて1年度1事業所当たり45人
※対象となる短時間労働者とは、週所定労働時間を延長した日の前日から起算して過去6か月間、社会保険の適用要件を満たしておらず、支給対象事業所において過去2年以内に社会保険に加入していない者とします。
※延長後6か月の週所定労働時間と延長前6か月の週当たりの平均実労働時間の差が3時間以上である場合に加え、延長前後の6か月の週所定労働時間の差が3時間以上であって、延長前後の週平均実労働時間の差が3時間以上である場合も含みます(1時間以上3時間未満延長である場合も同様です)。
その他、労使合意に基づいた社会保険適用拡大の措置を実施する会社では、「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」が利用できます(令和4年9月30日まで)。社会保険の適用対象者の拡大を検討されている場合は、各取扱機関にお問い合わせください。
■申請の流れ
社内でキャリアアップ管理者を選任・配置した上で、労働組合等の意見を聴いてキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局又はハローワークに提出します。
提出後、期間内にキャリアアップ計画へ取り組み、対象者への6か月分の賃金を支給した日、又は処遇改善の実施等各コースに定められた要件を満たした日の翌日から起算して2か月以内に支給申請をします。
キャリアアップ助成金 ~令和4年4月1日以降 変更点の概要~
■正社員化コース・障害者正社員化コース
(正社員化コースのみ)
一部廃止
有期雇用労働者から無期雇用労働者への転換の助成が廃止されました。
拡充
人材開発支援助成金における特定の訓練(※)の修了後に正社員化した場合の加算の対象となる訓練に「人への投資促進コース」の対象となる訓練(情報技術分野認定実習併用職業訓練を除く)を追加します。
※特定訓練コースのうち「IT技術の知識・技能を習得するための訓練(ITSSレベル2)」及び、特別育成訓練コースのうち「一般職業訓練又は有期実習型訓練」
(両コース共通改正事項)
(注)令和4年10月1日以降の正社員転換に適用
正社員定義の変更
「賞与又は退職金の制度」かつ「昇給」のある正社員への転換が必要です。
現行 | 同一の事業所内の正社員に適用される就業規則が適用されている労働者 |
改正後 | 同一の事業所内の正社員に適用される就業規則が適用されている労働者 ただし、「賞与又は退職金の制度」かつ「昇給」が適用されている者に限る ※正社員としての試用期間中の者は、正社員から除かれます。 |
非正規雇用労働者定義の変更
「正社員と異なる雇用区分の就業規則等」が適用されている非正規雇用労働者の正社員転換が必要となりました。
現行 | 6か月以上雇用している有期又は無期雇用労働者 |
改正後 | 賃金の額又は計算方法が「正社員と異なる雇用区分の就業規則等」の適用を6か月以上受けて雇用している有期又は無期雇用労働者 例)契約社員と正社員とで異なる賃金規定(基本給の多寡や昇給幅の違い)などが適用されるケース |
※適用される雇用区分の就業規則等において契約期間に係る規定がない場合、転換前の雇用形態は無期雇用労働者として取り扱われます。
■賃金規定等共通化コース
一部廃止
対象労働者(2人目以降)に係る加算が廃止されました。
■賞与・退職金制度導入コース
支給要件の変更
諸手当等(賞与、退職金、家族手当、住宅手当、健康診断制度)の制度共通化への助成が廃止され、賞与又は退職金の制度新設への助成へと見直されました。
一部廃止
対象労働者(2人目以降)に係る加算が廃止されました。
■短時間労働者労働時間延長コース
支給要件の緩和及び時限措置の延長
社会保険の適用拡大を更に進めるため、以下の措置が取られました。
- 延長すべき週所定労働時間の要件を緩和(週5時間以上→週3時間以上)
- 助成額の増額措置等を延長(令和4年9月末→令和6年9月末(予定))
知っていますか? 賃金3%アップの計算方法(キャリアアップ助成金正社員化コース)
〇原則の計算方法
※上記は正社員への転換前後で所定労働時間や給与支給形態に変更がない場合です。
〇その他の場合の計算方法
正社員への転換前後で所定労働時間や給与の支給形態(時給から月給等)に変更があった場合や、転換日が賃金〆日と一致しない場合などの計算方法が異なる場合がありますので、詳細は各取扱機関にお問い合わせください。
〇賃金3%以上増額の際に含めることのできない手当
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例 |
実費補填であるもの |
就業場所までの交通費を補填する目的の「通勤手当」 |
家賃等を補填する目的の「住宅手当」 |
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就業場所が寒冷地であることから暖房費を補填する目的の「燃料手当」 |
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業務に必要な工具等を購入する目的の「工具手当」 |
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食費を補填する目的の「食事手当」 |
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労働者の処遇改善が判断できないもの (毎月の状況により変動することが見込まれる) |
繁閑等により支給されない場合がある「休日手当」及び「時間外労働手当(固定残業代を含む)」 |
本人の営業成績等に応じて支払われる「歩合給」 |
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本人の勤務状況等に応じて支払われる「精皆勤手当」 |
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賞与 |
一般的に労働者の勤務成績に応じて定期又は臨時に支給される手当(いわゆるボーナス) |
※固定残業代を支給している場合も算定方法に注意が必要ですので、詳細は各取扱機関にお問い合わせください。
※上記以外の諸手当についても、その趣旨等に応じて算定から除かれる場合があります。
解説
生産性の向上で助成率・額がUP !
背景と趣旨
「生産性要件」を満たした場合、多くの助成金で、その助成額又は助成率が大幅に割増しされます。生産性向上に向けて取り組む会社を支援することを目的とした制度です。
背景には、少子高齢化による労働力人口の減少が挙げられます。少ない労働力人口でも経済成長を図っていくためには、従業員個々人の付加価値(生産性)を高める必要があります。
生産性要件とは
助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」が、
- その3年度前に比べて6%以上伸びていること 又は、
- その3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びていること
※ 3年度前の初日に雇用保険適用事業主であることが必要です。
※ ②の場合、金融機関から一定の「事業性評価」を得ていることが必要です。
※ 生産性要件の算定の対象になった期間中に、会社都合による離職者を発生させていないことが必要です。
※ 上記の取扱いとは異なる助成金もあります。
生産性とは
生産性とは、いわゆる「従業員1人当たりの付加価値」のことであり、ここでいう付加価値とは下記算式の分子の金額となります。
※人件費については従業員の給与や退職金等を算定することとし、役員報酬等は含めません。
※生産性要件を算定するための「生産性要件算定シート」が厚生労働省のホームページに掲載されています。
提出する資料
生産性要件算定シート、及び各勘定科目の額の証拠書類 (損益計算書、総勘定元帳等)
※連結決算を組んでいる会社については、連結前の個別決算書等の情報を採用します。
※個人事業主の方は、確定申告書Bの青色申告決算書や収支内訳書等を採用します。