お知らせとコラム
労働保険の年度更新の申告が始まります。
今年も労働保険の年度更新申告の受付が開始されます!
年度更新とは、前年度の概算保険料の確定および精算と、当該年度の概算保険料の申告・納付をあわせて行うことをいいます。年度更新は、従業員を雇用するすべての企業が実施しなければならない手続きです。 みなさまの会社へも、5月末前後に「緑色または青色の封筒」が届いていませんか? それこそが年度更新の申告書および納付書です!
さて、今年2025年の申告は6月2日(月)に開始、そして申告と納付の期限は7月10日(木)です。
このコラムでは、労働保険年度更新を行うにあたって確認すべきことを簡単ですがお伝えいたします。

労働保険は「労災保険」「雇用保険」、この2つの保険の総称です!
今後雇用する見込みがあり引き続き労働保険を継続する場合や、事業を廃止した場合も年度更新の対象となります。
目次
申告と納付まで流れは?
申告から納付までの流れを簡単にまとめると、以下のようになります。
- 前年度に従業員へ支払った賃金を月ごとに集計
- 集計金額に対して業種ごとに定められた保険料率を掛けて保険料を算出
- 申告書を作成し送付
- 納付書で保険料を支払い
前年度4月1日から3月31日のものを集計します。
郵送された申告書に記載があります。
また、厚生労働省のホームページでも確認できます。
雇用保険:厚生労働省:「令和7(2025)年度の雇用保険料率について」
労災保険:厚生労働省:「令和7年度の労災保険率等について」
一般拠出金|一律「0.02/1,000」(2018年度以降改定無し)
実は厚生労働省から、年度更新申告書計算支援ツールが公開されています。
Excelですので、特別なソフトも不要です。ぜひ活用してみましょう!
リンク:厚生労働省「年度更新申告書計算支援ツール」
年度更新申告書を作成するときに確認すべきことは?
それではいざ作成!…といきたいところですが、闇雲に作成すると失敗する可能性が高まります!
どういうところに気を付けるべきか、いくつかピックアップして紹介いたします。
労働保険の対象者は正しく認識していますか?
労災保険と雇用保険では、その対象となる従業員の範囲が異なります。正しく範囲を認識しないと、算出した保険料を間違える事となってしまうため、充分な注意が必要です!
時間・日数・期間など名称や雇用形態を問わず、労働の対償として賃金を受け取るすべての従業員が対象。
※役員、事業主と同居の親族は対象外
※派遣従業員は、派遣元事業場の適用であるため対象外
すべての雇用保険の被保険者が該当
※雇用保険の対象者とは?
1週間の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上雇用されることが見込まれる従業員
引用:厚生労働省「6 雇用保険の被保険者について」
労働保険料の計算に含める賃金は正しく認識していますか?
従業員へ日々支払っている賃金の中にも、給与や手当、慶弔見舞金など、様々な種類の賃金があります。どれが「労働保険の計算」に含まれる賃金なのか正しく範囲を認識しないと、算出した保険料を間違える事となってしまうため、充分な注意が必要です!
引用:厚生労働省「労働保険対象賃金の範囲」
基本給、各種手当、賞与、通勤費(定期券)、休業手当…etc.
→労働の対価として支払われる賃金がすべて対象!
役員報酬、慶弔見舞金(労働とは別のもの)、出張旅費(費用の弁償という考え)…etc.
年度更新書類に同封されている書類、見ていますか?
申告書の入った緑色または青色の封筒には、その他にも様々は書類が入っています。例えば、「申告書の書き方」という案内冊子には、これまでに記載した注意点なども記載されています!
申告書そのものの記載内容、見ていますか?
年度更新書類に同封されている申告書は必ず確認しましょう。申告書にみなさまの企業の労働保険料に関する重要な情報が記載されています。時折記載されている内容が企業で管理している情報と異なるという話を聞きます。年度更新の封筒に記載されている管轄の都道府県労働局にお問い合わせください。
①労働保険番号
→同じ企業であっても、複数の事業所を有する場合は、別の労働保険番号であることがあります。
混同しないようにどの事業所の申告書か確認しましょう
②申告済概算保険料額
③口座振替の有無
(口座振替の申込手続きが完了しているときは「●口座振替●」と印字されています)
④電子申請対象の有無
(電子申請義務化の対象となる企業は「●電子申請対象●」と印字されています)
⑤メリット制の有無
(メリット制の適用となる企業は印字されています)
資本金、出資金が1億円を超える法人など一定要件を満たす法人は、電子申請による手続きが義務化されています。
参考:厚生労働省「2020年4⽉から特定の法人について電子申請が義務化されます。」
同じ業種でも、労働災害防止の取り組みによって、事業場ごとに災害発生率は違うはず
→公平性を保つため、過去の災害発生率に応じて労働保険料率を増減させる制度
参考:厚生労働省「労災保険のメリット制について」
年度更新の手続きに迷ったら…
ここまで、労働保険年度更新の手続きにて注意することを「一部のみ」ですがお伝えしてきました。しかし、ここまでの内容でも初めてお聞きになる言葉も多かったかもしれません。また、労働保険料の計算は、従業員数が増えれば増える程注意すべきポイントも増え、とても大変なことは想像に難くありません。
そんな時は、一度社会保険労務士へご相談してみてはいかがでしょうか? みなさまの会社の状況を伺いつつ、期限までに申告できる様にサポートいただけるはずです! もちろん私たちリードブレーングループも、ご相談いただけましたら全力でサポートさせていただきます!
年度更新は、毎年必ず行う手続きです。慌てないよう、必要な情報を早めに集めるようにしてください。また、申告期限の7月10日(木)は、納付期限でもあります。期限までに納付ができず滞納の状態になると、延滞金などが発生することもあります。無駄な経費が会社の重しとならないように、早め早めの準備と手続きを、そして場合によってはご相談を心がけましょう!