Archive for the ‘労務情報’ Category

2024年4月 労働条件の明示ルールが改正

2024-02-27

事業者は、従業員を雇い入れる際に労働条件を書面で伝えなければならないと労働基準法により定められています。令和6年4月から、労働条件の明示事項の変更により、書面で通知しなければならないことが4つ追加されました。今回の記事では、労働条件通知書の概要と運用方法や、2024年4月からの変更点を紹介します。

労働条件通知書とは

労働条件通知書とは、労働契約の締結時や更新時に従業員に交付する、賃金や労働時間などの法令等で定められた労働条件を記載した書類です。正社員やアルバイトなどの名称にかかわらず、全ての従業員が交付対象となります。派遣労働者の場合は、派遣元の会社が労働条件通知書を書面で交付する必要があります。

労働条件の明示

現時点での法令等上、明示しなければならない労働条件は以下のとおりです。「企業にその制度がある場合には明示しなければならない項目」については、企業にその制度がある場合のみ明示しなければなりません。また昇給に関することは、正社員に対しては口頭でもよいとされていますが、アルバイトなどの有期契約労働者には書面で明示しなければならないため、正社員にも書面で通知できるよう準備をおすすめします。

【法令等上明示しなければならない項目】(2024年3月末日まで)

労働条件通知書の運用方法

労働条件通知書の代わりに、雇用契約書を提供することができますが、雇用契約書には法令上必要な項目が適切に明示されている必要があります。

労働条件通知書は、従業員が希望した場合に限り、FAX、電子メール、SNSのメッセージ機能などで提供することもできます。ただし、書面にするためにプリントアウト可能である必要があります。

もしも、企業が労働契約の締結時や更新時に労働条件を明示しなかった場合や、従業員が電子メールなどでの明示を望まない場合に、罰金が科せられる可能性があります。

2024年4月からの変更点について

2024年4月から、明示しなければならない労働条件の項目が追加されます。

追加される項目は、以下の1から4です。

1 就業場所・業務の変更の範囲

働く場所や業務内容だけではなく、将来的に変更の可能性がある範囲を明示する必要があります。人事異動や配置転換をする可能性がある場合には、必ず記載しなければなりません。

2 更新上限の明示(有期契約労働者の場合のみ)

有期契約労働者との労働契約の締結時と更新時に、有期労働契約の通算期間または有期労働契約を更新できる回数に上限がある場合については、その内容の明示が必要になります。

【更新上限の明示の例】

・契約期間は通算4年を上限とする

・契約の更新回数は3回まで など

3 無期転換申込機会の明示(有期契約労働者の場合のみ)

無期転換申込権が発生する更新(※)のたびに、希望をすれば無期労働契約へ変更できる旨について明示する必要があります。

4 無期転換後の労働条件の明示(有期契約労働者の場合のみ)

無期転換申込権が発生する更新(※)のたびに、無期労働契約へ変更した後の労働条件について明示する必要があります。ここで明示する必要のある労働条件は、通常明示する必要のある項目と同様です。

無期転換申込権が発生する更新とは

更新によって、同一企業との労働契約の通算期間が5年を超えることです。 

以上の4項目はいずれも書面での明示が必要となる項目です。以下のパンフレットやQ&Aも参考にしながら、事前に労働条件通知書のつくり直しをおすすめします。

参考|厚生労働省『2024年4月からの労働条件明示のルール変更、備えは大丈夫ですか?』

参考|厚生労働省『令和5年改正労働基準法施行規則等に係る労働条件明示等に関するQ&A』

おわりに 

労働条件の明示と労働条件通知書の交付は、従業員との労働契約の締結や更新時に欠かせない重要な手続きです。書面で交付を行う必要がある項目は法令等上では限られていますが、できるだけ労働条件を書面で確認することが望ましいです。契約内容の明確化は、労使間のトラブルを未然に防ぐ一環とも言えます。また、労働条件通知書の作成時には、就業規則との整合性を考慮することも重要です。労働条件通知書に記載した労働条件が、就業規則に定めた労働条件より下回る場合、労働条件通知書の内容は無効となり、就業規則の内容が優先されます(労働条件通知書の労働条件が就業規則の労働条件を上回る場合は、労働条件通知書の内容が優先されます)。労働条件通知書を作成する際は、必ず就業規則の内容と見比べることをおすすめします


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カスタマーハラスメント対処法

2024-02-14

近年、社会的な問題として注目を浴びているのが、カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)です。2023年9月には、精神疾患の労災認定基準においてもカスハラが取り上げられ、その深刻な被害が浮き彫りになっています。

しかし、認知度が上がる一方で、十分な対策が講じられていない企業も多いのが現状です。今回は、カスハラの具体的な内容や企業がどのように対応すべきかについて解説いたします。

カスハラとは?

カスハラとは、顧客や取引先がその立場を利用して、相手企業やその従業員に対して理不尽な要求をする行為です。ただし、すべてのクレームがカスハラとは限りません。過剰な要求や不当なクレーム、悪質な言いがかりが社会通念上不相当なものを指します。

カスハラの判断基準

厚生労働省の調査によれば、ハラスメントを受けた従業員の中でカスハラが多く、企業への相談件数も上位にランクインしています。しかし、カスハラの判断基準は法令等で定められておらず、企業は独自の基準を明確化し、社内で周知する必要があります。

考え方の一例として、要求内容の妥当性手段の相当性を考えることが挙げられます。クレームが自社のサービスや商品の過失に基づくものであれば妥当性がありますが、相手方の要求が社会通念上相当な範囲を逸脱している場合はカスハラと判断します。

カスハラの被害と対策

カスハラは従業員にとって大きなストレスとなり、心身の不調を引き起こし、休職や離職の原因にもなります。企業にとっても、クレーム対応にかかる時間コストの増加や休職・離職による人員不足が経営に大きな影響を及ぼします。

労災認定基準の改正により、カスハラが精神疾患の労災として認められるようになりました。これにより、企業は従業員のメンタルヘルスケアにも力を入れる必要があります。

カスハラ対応の難しさ

カスハラが自社の役員や従業員以外の者によるものであるため、対応が難しい場合があります。社内だけでなく、取引先や外部機関とも連携が必要です。取引先との関係も慎重に扱い、健全な関係を維持することが大切です。

企業が対応すべきこと

カスハラが発生した際、適切な対応を行わないと安全配慮義務違反となり、損害賠償請求の可能性もあります。以下は、企業が対応すべきポイントです。

  1. 基本方針の明確化: カスハラに対して断固たる姿勢を示し、従業員を守るための基本方針を策定します。
  2. 対応方法の明確化: カスハラ発生時の対応方法や手順を社内で明確にし、迅速な対応ができるようにします。
  3. 相談体制の整備: 相談窓口を設置し、従業員が迅速かつ適切に相談できる環境を整備します。
  4. 従業員教育、研修: 定期的な教育や研修を通じて、従業員に対してカスハラに対する意識を高めます。
  5. 被害従業員への配慮: 被害を受けた従業員への適切な支援とプライバシーの配慮が必要です。
  6. 再発防止への取り組み: 定期的に対策の見直しを行い、再発防止策を継続的に実施します。

企業がこれらのポイントを踏まえ、積極的にカスハラ対策に取り組むことで、従業員の安心感向上と経営の安定に寄与できるでしょう。また、厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策チェックシート」を活用することもおすすめです。

参考|厚生労働省『カスタマーハラスメント対策 企業マニュアル』P52~P54

知っておこう!「年収の壁」

2024-01-25

パート・アルバイトなどの中には、配偶者などの扶養の範囲内で働きたいと考えている人も多くいますが、その主な理由は「年収の壁」を超えないようにするためです。今回の記事は「年収の壁」とは何か、そしてこの壁による影響や課題について解説します。なお次回の記事では、2023年10月から開始された社会保険関連の年収の壁に対する支援強化策を中心に、企業が押さえておきたいポイントを解説します。

年収の壁の種類

パート・アルバイトなど(以下、短時間労働者)で収入が一定額より少ない従業員は、健康保険料と年金保険料(以下、保険料)や税金の負担がありません。しかし、一定の収入を超えてしまうと、扶養から外れて保険料の負担が発生したり税金の課税対象になるなど、手取り額が減少する場合があります。このように負担が発生する年収ラインを年収の壁といいます。

年収の壁による影響と課題

「年収の壁」は従業員だけに影響するものではありません。企業の人手不足にも影響しています。

1 企業が抱える問題「人手不足」

近年、人手不足は深刻化しています。少子高齢化による生産年齢人口の減少や時間外労働の上限規制などにより、人手不足が慢性化している企業も少なくありません。このような状況のなか、現在雇用している短時間労働者の労働時間の延長は、解決策のひとつといえます。

2 短時間労働者が「就業調整」せざるを得ない現状

企業が短時間労働者の労働時間延長を求める一方、短時間労働者は就業調整(年収や労働時間の調整)をしながら働いている状況がしばしば見受けられます。この就業調整をする理由のひとつが「年収の壁」です。いくつかある年収の壁のなかでも、健康保険や年金(以下、保険)にかかわる「106万円の壁」と「130万円の壁」は短時間労働者がもっとも意識する壁です。これらの壁を超えると、配偶者などの扶養から外れ、その後は短時間労働者自身が保険料を負担することになります。このとき問題となるのが、収入の増加額より保険料が高くなるケースです。つまり、労働時間を増やしたにもかかわらず、手取り額が減少するという、働きがいを感じられない状況が発生してしまう可能性があるのです。

2021年の厚生労働省の調査によると、配偶者がいる女性の短時間労働者のうち、何らかの理由で就業調整をしている人は21.8%でした。その理由として57.3%が「130万円の壁」、21.4%が「106万円の壁」と回答しています。(複数回答)この調査結果からも、年収の壁を意識して収入を増やさないように調整している人達が一定数いることが伺えます。人手不足の解消が急がれるなか、こうした就業調整は大きな課題といえます。企業側と短時間労働者側の相容れない状況を打破するためにも、年収の壁の解消が求められています。

106万円の壁とは

「106万円の壁」は保険の壁のひとつです。社会保険の適用拡大により、被保険者数101人以上(※)の事業所(特定適用事業所)に勤務する短時間労働者は、以下の要件のすべてに該当するとき、協会けんぽや健康保険組合などの社会保険(以下、社会保険)の被保険者となります。 ※2024年10月からは51人以上

①週の所定労働時間が20時間以上

②所定内賃金が月額8.8万円以上(8.8万円×12か月≒年収106万円

③継続して2か月を超える雇用の見込みがある

④学生ではない

社会保険の被扶養者として認定される収入基準は年収130万円未満です。しかし、たとえ年収130万円未満でも勤務先が特定適用事業所の場合、年収106万円以上になり、上記の要件に該当すると社会保険に加入して扶養から外れなければなりません。つまり社会保険料の負担が発生します。これが106万円の壁です。そしてこの壁で一番問題とされるのは、壁を超えると収入の増加額より社会保険料の額が大きくなり手取り額が減少してしまう場合があることです。

なお、年収106万円の壁の年収(②の所定内賃金月額)には、以下の賃金は含まれません

・賞与などひと月を超える期間ごとまたは臨時に支払われる賃金

・時間外労働、休日労働および深夜労働による割増賃金

・通勤手当や家族手当など最低賃金に算入されない賃金

130万円の壁とは

「130万円の壁」も106万円の壁とおなじく保険の壁です。(60歳以上または障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者は、130万円をすべて180万円に読み替えます。)年収130万円は社会保険の被扶養者として認定される収入基準です。そのため、年収130万円以上になると扶養から外れなければなりません。そして、以下の①または②に切り替わるため保険料の負担が発生します。これが130万円の壁です。

①勤務先の社会保険の加入要件に該当する場合は社会保険に加入。

②それ以外は国民健康保険に加入。さらに配偶者の扶養(国民年金第3号被保険者)だった場合は国民年金第1号被保険者に変更。

130万円の壁も106万円の壁と同じように、壁を超えると収入の増加額より保険料の額が大きくなり、手取り額が減少してしまう可能性があります。

なお、106万円の壁の年収には、賞与や割増賃金、通勤手当などは含まれませんが、130万円の壁の年収にはいずれも含まれるため注意が必要です。また、給与収入以外にも老齢年金、不動産収入、さらに非課税対象の収入(失業保険、育児休業給付金、傷病手当金、障害・遺族年金など)も含まれます。

そのほかの年収の壁

ここまで保険の壁について解説しましたが、年収の壁はほかにもあります。これらは税金の壁といわれ、「100万円の壁」「103万円の壁」「150万円の壁」「201万円の壁」があります。なお、税金の壁の年収には通勤手当は非課税であるため含まれません。(一部、非課税限度額を超えた通勤手当は含みます。)

1 100万円の壁とは

「100万円の壁」は住民税の壁です。住民税は、前年の所得金額に応じて負担する所得割と、所得金額にかかわらず定額を負担する均等割があります。この所得割、均等割のどちらも課税されない年収ラインが100万円のため「100万円の壁」といわれています。ただし、自治体によって非課税限度額が異なり、年収100万円の基準を下回る場合もあります。

2 103万円の壁とは

年収103万円を超えると以下のような影響があります。(ただし、年金受給者や勤労学生など一部基準が異なる場合もあります。)

【例:夫に扶養されている妻の年収が103万円を超えたとき】

・妻に所得税の支払義務が発生する

・夫が配偶者控除を受けられなくなる(ただし、配偶者特別控除を受けられる可能性あり)

【例:親に扶養されている子の年収が103万円を超えたとき】

・子に所得税の支払義務が発生する

・親が扶養控除を受けられなくなる

つまり、自身の所得税の支払義務が発生するだけではなく、配偶者や家族の所得税や住民税も増額される可能性があります。

3 150万円の壁、201万円の壁とは

上記2の例の場合、妻の年収が103万円を超えると夫は配偶者控除を受けられなくなりますが、妻の年収が150万円以下であれば夫は配偶者控除と同じ額の配偶者特別控除を受けることができます。ただし、妻の年収が150万円を超えると夫の配偶者特別控除の額は段階的に減少します。これが150万円の壁です。さらに妻の年収が201万6千円以上になると、夫は配偶者特別控除を受けられなくなります。これが201万円の壁です。なお、夫の年収が1195万円(所得1000万円)を超えると、妻の年収にかかわらず配偶者控除および配偶者特別控除のどちらも受けることができません。

(出典)財務省『主な人的控除制度の概要(現行)』

おわりに

もっと働きたい意欲はあるものの、年収の壁により就業調整せざるを得ない短時間労働者は意外と多くいます。年収の壁を意識せず働くことができる環境づくりは、人手不足の解消や優秀な人材確保にもつながります。そのためにも、労務担当者は年収の壁のしくみを理解しておくことをおすすめします。


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産休・育休でもらえる給付金の種類

2024-01-18

産休や育休中に受けられる給付金にはさまざまな種類があります。これらの給付金を理解することは、働く親にとって非常に重要です。今回は、産休・育休中にもらえる給付金の主な種類についてわかりやすく解説します。

出産手当金

産前産後休業期間において、雇用保険に加入している女性が対象となるのが「出産手当金」です。この手当は、出産予定日の42日前から予定日までと、出産後56日間(多胎の場合は98日間)にわたって支給されます。手当の額は、平均給与に一定の割合をかけたもので、出産前の3ヶ月間の平均給与が基準となります。

育児休業給付金

育児休業を取得した際に支給されるのが「育児休業給付金」です。この給付金は、雇用保険に加入している被保険者が対象で、最初の子どもについては最大で1年、それ以降の子どもについては最大で14週間まで支給されます。支給額は、平均給与に基づいて計算されます。

出産育児一時金

「出産育児一時金」は、出産した際に一時的に生活が厳しい場合に支給される手当です。この一時金は、雇用保険被保険者が対象で、出産した月とその翌月に一定の条件を満たすことで支給されます。支給額は一律で、事前に申請が必要です。

パートナーシップ手当

最近では、男性が積極的に育児に参加することを促進するために「パートナーシップ手当」が導入されています。これは、育児休業を取得する男性が対象で、最長で14週間までの支給があります。育児休業中に一定の条件を満たすことで支給され、手当の額は平均給与に基づいています。

まとめ

産休・育休中にもらえる給付金は、出産手当金、育児休業給付金、パートナーシップ手当などがあります。これらの給付金は、雇用保険に加入していることが条件となりますが、それぞれの手当には支給期間や支給額に違いがあります。親が知っておくべき給付金の種類を理解し、効果的に利用することで、仕事と育児の両立がよりスムーズになるでしょう。


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インフルエンザにしっかり対策しよう。

2023-12-25

インフルエンザは、毎年流行を繰り返し、健康に対して大きな影響を与える最大の感染症のひとつです。一般的に12月~3月がインフルエンザの流行のシーズンとされていますが、今年は5月頃から季節外れの流行が見られるなど、全国各地で予期せぬ状況に直面しました。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けは2023年5月に5類に移行したものの、コロナ禍で免疫力が低下したことによる流行ともいわれており、今冬も感染対策の徹底が引き続き求められます。今回の記事では、季節性インフルエンザ(以下、インフルエンザ)の特徴や、流行に対して企業が押さえておくべきポイントをお伝えします。

インフルエンザとは

インフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染でかかる病気です。高熱のほか、頭痛・関節痛・筋肉痛など全身の症状が突然現れることも特徴です。なお、インフルエンザと風邪の主な違いは以下のとおりです。

インフルエンザの発生に備える企業対応

一般的に、インフルエンザ発症前日から発症後3〜7日間は鼻やのどからウイルスを排出する時期といわれています。この時期は人に感染させるリスクが高まりますが、インフルエンザには出勤停止期間を定める法令等はないため、就業規則に企業のルールを定めておく必要があります。インフルエンザによる欠勤連絡を受けるたびに異なる対応になったり、対応の遅れで業務への支障が出ないよう事前の対応をおすすめします。

【発生に備えて決定しておきたい項目】

・出勤停止期間

・従業員やその家族がインフルエンザに感染したときの企業への申告方法

・有給休暇の当日、事後取得の可否

・発熱した従業員へのインフルエンザ検査の命令基準

・受診命令した時の賃金支払や受診料の負担

・休業時の連絡方法

・業務の引継ぎ方法

・特別休暇や病気休暇などを設ける場合は就業規則の変更 など

インフルエンザに感染した従業員が、出勤停止期間の早い段階で熱が下がり、症状が快復することもあります。働ける健康状態であっても、感染防止のために出社を控えてもらうときは休業手当の支払が必要です。出勤停止期間を検討するうえで、学校保健安全法の出席停止期間も参考になります。インフルエンザ罹患後の外出時期については、以下のサイトをご確認ください。

参考|厚生労働省『令和5年度インフルエンザQ&A』Q17

インフルエンザと傷病手当金

インフルエンザに感染して仕事ができない場合、健康保険の被保険者は傷病手当金の支給対象になります。ここでは、協会けんぽの傷病手当金について記載しています。

傷病手当金とは、業務外の理由による病気やケガで仕事ができず、企業から給与の支払がないときに、健康保険から生活保障として支給される手当です。業務外の理由による病気やケガの療養のため、仕事を休んだ日が連続して3日間(一般的に「待期期間」という)の後、4日目以降の仕事に就けず、給与の支払がなかった日に対して支給されます。ただし、給与の支払があっても、給与の日額が傷病手当金の日額より少ない場合、その差額が傷病手当金として支給されます。

支給額は以下の計算式で算出した額になります。

なお、支給開始日以前の期間が12か月に満たない場合は、別の計算方法で支給額を求めます。詳細は以下のサイトをご確認ください。

参考|協会けんぽ『病気やケガで会社を休んだとき』

傷病手当金は同一の疾病に対して通算1年6か月支給されます。しかし、インフルエンザは原因となるウイルスが複数あるため、感染するたびに「別の疾病」の扱いになり、感染の都度、傷病手当金を受けることが可能です。

有給休暇と傷病手当金のどちらを選択するのか

基本的に、同じ日に有給休暇と傷病手当金の両方を選択することはできません

ただし、仕事に就いていない日で、有給休暇による賃金日額が傷病手当金の日額より少ない場合、その差額が傷病手当金として支給されることはあります。

また、どちらを選択するかは企業が一方的に決定することはできず、企業のルールを踏まえ、最終的には本人の判断に委ねられます。

判断のポイントは以下のとおりです。支給額や支給される日が異なります。

【有給休暇】

取得日ごとに1日分の賃金が企業から支給されます。

企業の公休日は有給休暇を取得できないため、賃金の支給はありません。

【傷病手当金】

1日分の賃金より低い額になります(上記【傷病手当金 1日あたりの支給額の計算方法】を参照)。

また、企業の公休日も支給されます。

有給休暇を事前申請としている企業では、当日申請や事後申請を受け付けていないケースもあるため、有給休暇のルールは就業規則を確認してください。

家族がインフルエンザにかかったとき

本人ではなく同居している家族がインフルエンザに感染するケースがあります。

対応例については以下のとおりです。

【対応例】

・一定期間、休業をさせる(業務命令の休業になるため、休業手当の支払が必要)

・テレワークが対応可能か検討する

・特別休暇を取得させる

・本人の希望があれば有給休暇を取得させる

・小学校就学前の子どもが感染したときは「子の看護休暇」の利用を推奨する など

職場のインフルエンザ対策

インフルエンザは流行性があるため、ひとたび流行が始まると短期間で職場内感染が広がるケースも見受けられます。

インフルエンザの感染経路は「飛沫感染」と「接触感染」のふたつです。従業員が安心して働くことができる職場づくりのひとつとして、以下のような感染予防対策を行うことをおすすめします。

1 こまめな換気

限られた空間に多くの人が集まることが多い職場では、空気中にただようウイルスを外に排出することが大切です。また、新型コロナウイルス対策としても、十分な換気は重要です。

外へ出たウイルスは日光(紫外線)により不活化するため、こまめな室内の換気はウイルス濃度の低下につながります。

2 適度な湿度の保持

空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。インフルエンザは湿度の高い環境に弱いため、適切な湿度(50〜60%)を保つことが重要です。職場内に加湿器を設置するなどの対応も効果的です。

感染予防のための企業内周知

職場内の感染予防と同様に、1人ひとりが「感染しない」「感染させない」意識を持ち、咳エチケットや手洗いなどを徹底することも大切です。

疲労が溜まっていたり、睡眠不足のときは免疫力が低下します。普段から十分な睡眠とバランスのよい食事を心がけることで免疫力も高まり、感染予防につながります。

厚生労働省の以下のサイトでは、感染防止やワクチンなどの情報がまとめて掲載されており、予防啓発のためのポスターも用意されています。

参考|厚生労働省『令和5年度 今シーズンのインフルエンザ総合対策について』

参考|厚生労働省『咳エチケット』

参考|厚生労働省『正しい手の洗い方』

まとめ

インフルエンザは感染力も強く、毎年約10人に1人が感染しています。

いつ誰が感染するかは分からないため、急に欠勤する従業員が出た場合の業務の引継ぎ方法や連絡方法などをあらかじめ決めておくと、従業員の不安も軽減されます。

労務担当者として、関連する手続を把握し、対応策を準備しておくことが大切です。


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年収の壁を理解し、新しい働き方の可能性を考える

2023-12-07

年収の壁とは?

年収の壁は、社会保険において一定の収入を得ることによって生じる課題です。社会保険の加入条件や扶養の範囲には所得要件があり、年収が一定額を超えると保険料が発生し、手取り収入が減少する可能性があります。この保険料負担を嫌って、多くの労働者が就業時間や日数を調整し、逆に収入が減少してしまう現象を「年収の壁」と呼んでいます。

106万円の壁

通常、従業員数が101人以上の特定適用事業所では、週の所定労働時間が20時間以上で月給が8.8万円以上の場合、社会保険への加入が必要です。これにより、年収が106万円を超えると、従業員は自らが社会保険に加入し、保険料を負担する必要が生じます。これが一般的に「106万円の壁」と呼ばれています。

130万円の壁

特定適用事業所以外では、年収が130万円を超えると、扶養を外れて自ら社会保険料を負担する必要があります。かつては特定適用事業所に限られていた130万円の壁も、現在は従業員数51人以上の企業にも拡大しており、注目を集めています。

その他の壁

年収の壁は社会保険に関連するだけでなく、所得税に関わる「103万円の壁」や、配偶者特別控除に影響を与える「150万円の壁」や「201万円の壁」など、複数の要素がからみ合っています。

2023年の新たな動き

労働力不足が深刻な中、政府は2023年9月に「年収の壁・支援強化パッケージ」を発表し、年収の壁に対する対策を打ち出しました。

106万円の壁への対応

政府が106万円の壁に対して講じる対策には、以下が含まれています。

  • キャリアアップ助成金のコース新設: 短時間労働者が社会保険の対象となる場合、企業に対して最大50万円の助成金を提供。
  • 社会保険適用促進手当の標準報酬算定除外: 保険適用による本人負担分の保険料相当額を上限として、最大2年間、標準報酬月額・標準賞与額の算定に考慮しない。

130万円の壁への対応

130万円の壁に対する対策として、事業主の証明による被扶養者認定の円滑化が計画されています。また、企業が支給する配偶者手当についても見直しを促進する方針です。

メリットと今後の展望

社会保険に加入することで将来の年金が増え、手当金を受け取るメリットがあります。ただし、今回の対策は一時的なものであり、将来的な改革が求められます。年収の壁には様々な側面があり、一律の解決策ではなく、個々の状況に応じた柔軟な対応が必要です。労働力の確保と働き方改革を両立させ、社会全体が「壁」を感じずに働ける環境を築くために、今後も様々な取り組みが期待されます。

弊社のサービス

当社では、リードブレーン社会保険労務士法人として、労務・人事のプロとして様々なサービスを提供しています。バックオフィス業務のアウトソーシングや労務コンサルティング、助成金の提案などを通じて、企業の生産性向上をサポートしています。お気軽にご相談ください。


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企業が年末調整する際のポイント

2023-11-21

はじめに

年末になると、企業は年末調整の手続きに取り掛かります。正確に行わなければならないこの手続きには、社会労務士の視点からのポイントがあります。今回は、企業が年末調整する際に社会労務士がお伝えする重要なポイントを分かりやすく簡潔にご説明しますので、ぜひ参考にしてください。

1. 従業員の情報の正確性を確認する

年末調整の際には、従業員の情報(例: 所得の状況、扶養家族の有無など)が正確であることが重要です。正確な情報をもとに調整を行わなければ、後々のトラブルの原因になる可能性があります。従業員から最新の情報を確認し、必要に応じて更新しましょう。

2. 法定の期限を守る

年末調整の手続きには法定の期限があります。期限を守らないと遅延利息や罰則が発生する場合がありますので、注意が必要です。余裕を持って手続きを進めるよう心がけましょう。

3. 専門家のアドバイスを活用する

年末調整が初めてであったり、複雑な場合は、社会労務士のアドバイスを活用することをおすすめします。社会労務士は労働法や雇用関連の法律に詳しく、正確な手続きのサポートを提供します。

まとめ

企業が年末調整を行う際には、従業員の情報の正確性を確認し、法定の期限を守ることが重要です。また、必要であれば社会労務士の助言を活用しましょう。正確に手続きを行うことで、後々のトラブルを避けることができます。ぜひ、参考にしてください。


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今さら聞けない「36協定」とは?36協定を結ぶメリット・デメリット

2023-11-09

36協定とは?

36協定は、企業が従業員に福祉施設やサービスを提供する取り決めのことです。具体的には、厚生労働省が定めた「社内福祉の推進に関する協定」です。

メリット

1. 従業員のやる気アップ

36協定に基づく福祉施設やサービスは、従業員の働きやすさを向上させます。その結果、やる気がアップし、仕事の効率が向上します。

2. 企業の評判アップ

36協定の存在は、企業の社会的な責任感を示します。地域や業界での評判が向上し、優秀な人材の採用や定着に繋がります。

3. 法的な安心感

適切な36協定の運用は、法的なリスクを軽減します。従業員の健康や福祉に関する法令順守が求められる中、協定の存在は法的な安心感を提供します。

デメリット

1. 費用の負担

福祉施設やサービスの提供には一定の費用がかかります。特に中小企業にとっては、経済的な負担となる場合があります。

2. 運営の手間

施設やサービスの運営には専門知識や時間が必要です。適切な運用が行えない場合、逆に従業員の不満や問題が生じる可能性があります。

3. 効果の測定が難しい

36協定の効果を具体的に測定するのは難しい場合があります。従業員の満足度や生産性の向上を定量的に評価する手法が必要です。


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「多様な正社員」の現状とは?

2023-10-17

はじめに

無期転換ルールによって無期雇用となった社員の重要な受け皿の1つとして期待されている「多様な正社員」。普通の正社員とは異なり、勤務地、労働時間、職務などが限定されている正社員を指し、「限定正社員」とも呼ばれることもあります。

労働政策研究・研修機構が、企業側、労働者側それぞれについて調査を行った結果(2021年実施)が公表されています。この記事では、この調査の結果の内容についてお話しいたします。

【労働政策研究・研修機構「多様化する労働契約の在り方に関する調査」】https://www.jil.go.jp/institute/research/2022/224.html

「多様な正社員」の現状とは?

メリット・デメリット

◆メリット 〈企業側〉

・優秀な人材の確保、定着

・多様な人材の活用

・技能の蓄積、承継

・地域に根ざした事業展開

〈労働側〉

・ワークライフバランスの実現

・キャリア形成、キャリアアップ

・雇用の安定、処遇の改善

◆デメリット

・待遇のバランスが難しい

・人事管理が複雑になる

多様な正社員がいる企業

多様な正社員(勤務地限定・職務限定・労働時間限定)がいる企業は、全体の18.3%となっています。

採用方法

企業が多様な正社員を採る方法は、「中途・通年採用」の割合が最も高くなっています。

「有期契約労働者からの転換」や「無期転換社員からの転換」によっている企業の割合も約2割あります(複数回答)。

トラブル

限定された労働条件の変更について、限定内容に反することや限定区分の変更による配慮などに関してトラブルが生じているようです。

内容は、企業側からの区分変更の申入れが拒否された、労働者側からは会社都合で限定内容が変更された、という原因がそれぞれ最も高くなっています。

調査では、限定内容の説明をしていなかったり、限定内容について規定していなかったりした企業で、よりトラブルが多く発生していると報告されています。

最後に

「多様な正社員」は企業側にも従業員側にもメリットがあり、注目が高まっている働き方ですが、円滑に運用するには細かい制度決めなど入念な準備が必要となります。こちらの雇用制度に関する疑問や、導入にあたっての不明点などございましたら、お問い合わせください。

またリードブレーンでは労務相談や社会保険の手続きなど、労働環境を整えるためのサポートをしております!少しでもご興味ありましたらお気軽にお問い合わせください。


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心理的負荷による精神障害の労災認定基準が改定されました

2023-10-10

厚生労働省は、9月1日付で精神障害の労災認定基準を改正し、都道府県労働局に通知しました。改正のポイントは以下の通りです。 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34888.html

  • 業務による心理的負荷評価表の見直し
    • 具体的出来事「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)を追加
    • 具体的出来事「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を追加
    • 心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例を拡充(パワーハラスメントの6類型すべての具体例の明記等) 
      ※実際に発生した業務による出来事を、同表に示す「具体的出来事」に当てはめ負荷(ストレス)の強さを評価
  • 精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲を見直し
    • 悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したときには、悪化した部分について業務起因性を認める
  • 医学意見の収集方法を効率化
    • 専門医3名の合議により決定していた事案について、特に困難なものを除き1名の意見で決定できるよう変更

この基準改正は、労働者のメンタルヘルスを守り、労災補償を向上させるための重要な変更です。新しい要因の追加や心理的負荷の評価基準の明確化により、労働者のストレスや精神的な負担を正確に評価できるようになりました。また、仕事による精神障害の悪化に関するルールも見直され、労働者の保護が強化されました。

医学的評価の効率化は、労働者に早く必要な支援を提供できるようにしましたが、専門性と公平性を保つことが大切です。


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