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■人事評価制度とは
人事評価制度とは、【等級制度】【賃金制度】【人事評価制度】の3つによって構成されます。
その構成要素の1つである人事評価制度とは、期初に取り組むべき事項を定め(目標設定)、評価期間を通じてどのような成果を上げたのか、どのような態度・行動で取り組んだかを評価することで、よかった点、改善点を明確にし、従業員個人の成長につなげるための仕組みです。
成果や目標への達成度を評価する「業績評価」、業務上のスキルや知識などを評価する「能力評価」など複数の観点から多面的に評価する仕組みがあります。
※代表的な人事評価制度
目標管理制度(MBO)
従業員に自ら目標を定めさせ、企業と目標や認識を共有し、その目標の達成度により評価する制度
360度評価制度
多面評価とも呼ばれ、1人の従業員に対して、上司や部下、同僚、他部署の人間など複数の関係者が評価を行う制度
コンピテンシー評価制度
コンピテンシーとは、職務や役割において優秀な成果を発揮する行動特性のことで、企業に貢献できる人材の行動をコンピテンシーモデルに設定し、そのコンピテンシーモデルの差異で従業員を評価する制度
■人事評価制度のメリット・デメリット
(メリット)
①企業理念の浸透
人事評価制度に自社の経営理念やビジョン、大切にしている価値観を評価項目に組み込むことで、従業員が企業理念に基づく行動をとることが促進されます。
②モチベーション・定着率の向上
努力や成果を公平に評価することは、従業員のモチベーションの向上につながるとともに、企業と従業員の意思が調和し、共に成長していける関係が高まり、定着率の向上にもつながります。
③人材育成
定期的な人材評価の実施を通じて、従業員ごとに不足している点や優れている点を把握し、不足を補い、長所を伸ばすためのアドバイスやサポートを行うことで、従業員のスキルアップが図れます。
④最適な人員配置
従業員の能力や経験を一元的に把握することで、最適な人員配置が可能となり、労働生産性の向上につながります。
(デメリット)
①低評価者の労働意欲の減退
人事評価制度を実施することで、評価の高いものと評価の低いものが生じることになりますが、評価結果のフィードバックが適切に行われないと、低評価者が労働意欲を失う可能性があります。
②評価対象外業務の放置
評価項目に入っていない業務に対して、積極的に取り組まなくなる可能性があります。
③画一的な人材育成
評価項目や評価基準による画一的な評価が行われることにより、型にはまった人材をうみだし、イノーベーションを生み出しがたい組織になる可能性があります。
④従業員の退職
評価基準が不明確であったり、評価者により評価内容にばらつきがあるなど、人事評価制度が従業員の納得感を得られにくいものとなっていると、不満がうまれ、退職の原因となることがあります。
■人事評価制度の注意点
人事評価制度の最大の落とし穴は、90%以上の企業が制度を策定した後、運用できていない!ということです。その要因は、実態に合わない評価制度を構築してしまっていることがほとんどです。
- コンサルティング会社の言うなりの人事評価制度
- 複雑より詳細すぎる評価制度
- 評価制度を作成したが、そもそも運用者がいない
- 評価制度のPDCAがまわらずいつの間にか自然消滅
経営者は人事評価制度さえ構築できれば、組織が上手く回ると思いがちですが、実態に合わない制度を設計してしまうと、逆に組織が崩壊する恐れもあるのです。